ジェフがカンファレンスで提示したプラクティスは「真実性（Truthfullness）」のエクササイズでした。
一般的に、インテグラルでは、「シャドウワーク」や「Cleaning up」（浄化）という言葉が広く使用される傾向がありますが、ジェフはより美しい表現で、この「真実性（Truthfullness）」という言葉を採用しています。

ジェフは長年、テリーオファロンらと共に、長期にわたるリーダーシッププログラムを世界で展開してきました。そのプログラムによって、人がどのように後期の段階へとシフトしていくのかについて、研究しています。

そのひとつの集大成として、ジェフは人がいかに自分の内面をフルに感じることが重要なのかということについての結論に到達したのだと思います。

未来の人間に関して、ジェフは未来の人間は、現在の私たちから出現する、ということを述べています。
過去の先祖から見れば、私たちは未来の人間であると同時に、わたしたちから未来はすでに起こりつつある。

ジェフは、ケンウィルバーの言葉を引用します。

“真実が必ずしもあなたを自由にするとは限らない。しかし、真実性はそうするでしょう“

"The truth will not necessarly set you free, but truthfulness will."- Ken Wilber, A Brief History of Everything

このケンウィルバーの言葉は、以下の聖書の言葉を引用しているそうです。
あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする
"And you will know the truth, and the truth will make you free."
この聖書で述べられている真理というのは、キリストの教えの真理を知れば、人を自由にするという意味で、罪や無知、誤った考えにとらわれることなく、神の愛と救いを通じて自由に生きることができる、という教えであり、この自由は、単に外的な状況からの解放ではなく、内面的な平安や魂の解放を指しており、信仰によって得られる本当の自由を強調した言葉のようです。

ジェフやケンウィルバーが述べているTruthとTruthfullnessというのは、意味合いが異なっていて、Truthは右側象限のFactに近い意味合いで、真実や事実というものは必ずしも人を自由にするとは限らないが、Truthfullnessは左側象限の個人の内面であり、個人が内面で感じていることをフルに感じることは、人を癒すし、自由にするということを説明しています。

ジェフは、人が、本当に自分の内面で感じていることをフルに感じることが難しい状況に関して、そこにスペースを創ることがいかに大事なのか、それによって、未来が変化していくということを考えているのではないかと思います。

ジェフが取り組んでいる実践として、個人のスペース（I Space）と集団のスペース（We Space）という考えがあり、個人の癒しやTruthfullnessを感じるには、逆説的に、集団のスペース（We Space）がいかに重要かということについて取り組んでいます。

多くの個人の悲しみ、苦悩というものが集団のスペース（社会生活や人間関係）から生まれたものか、ということであり、それは、集団のスペースによって癒しが起こるということでもあり、そのためには、それぞれの個人が集団のスペースを集合的に創り出すことによって、癒しが起こる、ということでもあります。

これらを引き起こすのは、それぞれの個人がプレゼンスをShowing upする、体現する必要があり、お互いにアチューンメントする状態が必要であり、それぞれがTruthfullnessを持ち込む必要があるということです。

社会活動家で、集合的トラウマ、集合的シャドウの癒しに取り組んでいるトーマスヒューブルは、「アチューンメントのエコシステムの構築の必要性」ということを述べています。
もし、これらをSTAGESモデルに基づいて考えれば、Metaware層のターコイズ段階の人々によるコミュニティが必要であるということになると思います。

私たちはすでに存在しているもの、すでに存在していることをまだまだ受け取れきれていないものがあることに目覚め始めています。