インテグラルカンファレンス2024【テリーオファロン】

2024/08/11

発達の真実と嘘

テリーオファロンのプレゼンは、今回のカンファレンスのスピーカーの多くの人が集まり、非常に注目されたものだったようだ。

それぞれグループごとに別れて、配られた紙に基づいて、話し合い、他のグループと混ざって話をします。

これによって、発達段階の違う視点からの主張をそれぞれ展開するようにします。

発達段階の視点が異なると、それぞれの主張、意味づけの仕方が異なる。
これによって、ディスカッションをすると、お互いの意見が平行線をたどる。

このロールプレイをやってみると、本当に自分とは異なる発達段階の人の視点というものをリアルに体験することができ、他の発達段階の人からの発言や態度がどのように映るか、というものもリアルに体験できる。





 

これまでも、それぞれの発達段階を体験するためのエクササイズを構築してきたが、今回のカンファレンスを受けて、来年の発達支援コースでは、組織開発担当者のための、発達段階を体験エクササイズを参加者の皆さんにファシリテーションできるようになってもらうようなプログラムも一部で導入をしようと考えてみた。

今回のカンファレンスでは、あまりにも時間が短く、参加者からはフラストレーションもあったようだが、その時間の短さに対するフラストレーションすらも、テリーオファロンは、人生も時間が短い、ということでファシリテーションのネタとしてさすがうまく活用していたが、これらのエクササイズは、深めることによって、本当にたくさんの学びや気づきを促せるのではないかと思った。

多くの日本の組織において、4.5のリーダーは稀なのだが、3.0/3.5/4.0のダイナミクスは常に起こっており、この発達段階における関係性ダイナミクスを可視化し、再体験し、これまでの人間関係のダイナミクスに発達段階が深く関わっているということを体験してもらうにおいては、非常によいエクササイズになるのではないかと思った。

このエクササイズをファシリテーションするためには、発達段階のラベル貼りが組織において不健全なかたちで起こらないようにするという倫理上の問題があり、これらをどのように確保するかということを、発達支援コースの参加者の人々に協力していただき、参加型のスタイルで、知恵を結集するのがよいと思った。
また、より効果的なエクササイズとするために、4.0が少ない組織においては、3.0/3.5だけのエクササイズにするというやり方もあるかもしれないし、それぞれの業界特定(IT系、医療系、メーカー系)など、さまざまな業種業態の具体例に落とし込んだ例も必要かもしれない。これらを短期間で実証していくには、参加者の方といっしょに共創していくスタイルが最善ではないかと思った。

ロールプレイというのは、ゲシュタルトのエンプティチェアや、プロセスワークのロールスイッチのように、ふだん、自分の視点からばかり相手に投影してしまうことを、相手の視点から自分を見るために有効な方法だが、ゲシュタルトもプロセスワークも、ロールプレイの中に、発達段階を取り入れていない。それだからこそ、それぞれのワークの良さもあるが、発達段階をエクササイズするということに特化することによって、発達支援コースで統合したいそれぞれの各段階の視点を、より全体性を持って、統合することが可能になるのではないかと思った。

また、各段階の初期の段階にシャドウクラッシュしてしまうことも、エクササイズであえて体験するという方法がとれるかもしれない。ビジネスシーンで起こるシャドウクラッシュをさまざまな段階にわけて特定し、それらを体験するワークをガイドすることで、自分が統合しなければならないシャドウクラッシュを明確にすることができるかもしれない。

インテグラルや成人発達を学んできて、知識や情報が増えると、どんどん伝える際にも、伝えたい情報が増えてしまうのだが、それに比例して、フォロアーは一部の熱狂的なファンにしか届けることができないもどかしさがある。

情報の量♾情報の質
熱狂的なファン♾広く多くの人

このポラリティをマネジメントするには、いかに発達理論を「ポップ」に伝えるか?いかに「低次元に伝えるか?」ではなく、いかに「凝縮して」「レベルを下げずに」伝えるか?ということが重要で、凝縮して伝えるには、「体験エクササイズ」を洗練させる、ということを徹底することが最善なのではないか?ということが見えてきた。

もし、3.0/3.5/4.0のダイナミクスを凝縮して質高く伝えることができるようになれば、日本の組織開発は発達段階というハードルをブレークスルーすることができるかもしれない。
3.0/3.5./4.0のダイナミクスが存在していることは、誰しもが薄々感じてきたことだ。
それらをどうファシリテーションすることで、3.5/4.0がおのずと自己の現実を受け入れ、次の道を発見するのだろうか?
これをナビゲートするには、ファシリテーターの発達段階や、発達理論への深い理解が不可欠になるだろう。
また、ファシリテーションは、一度ではなく、さまざまなテーマや角度で、何度もおこない、その度に、ファシリテーションは難しい場面を迎えるであろう。